噛む犬が直らないと悩んでいる飼い主さんは
たくさんいるもので、犬のしつけの困りごとの中でも、
噛み癖は常に上位を占めています。
中でも飼い主に対して噛む犬は、
‘噛むこと’に対するハードルが低くなっているので、
他の人や犬にも噛みつく可能性が高くなるとか。
犬を飼う時、
一緒にドッグランやカフェに
お出かけすることを夢見た人もいるでしょう。
でも、噛む心配があると、
そんな楽しみも奪われてしまいますね。
自分なりにしつけ直しをしてみたけど、
なかなか直らないのはどうしてなんでしょうか。
‘犬が噛むのをやめさせたい’のカテゴリーでは、
問題点をもう一度見直すために、
噛む犬が直らない理由を考えてみたいと思います。
その上で、新たな切り口で
しつけ直すヒントを解説していきますので、
噛む犬を、あきらめずにしつけ直す方法を
知りたい人はぜひ参考にしてみてくださいね。
噛む犬が直らない理由
①コミュニケーションが取れていない
犬が噛むのは、そもそも飼い主と意思の疎通が
できていないことが原因。
例えば、犬が構ってほしい時、
洋服の裾を噛んで引っ張ってきたとします。
そんな時どうしてきたか思い出してみましょう。
「コラコラ、仕方ないな。」と
遊んであげていませんでしたか?
これでは
「構ってほしい時は洋服を噛んでもいい」と
学んでしまいますよ。
あるいは、
子犬が唸って何かを守ろうとしている時、
どんな対応をしましたか。
「ははは、一生懸命怒って可愛いな」と
抱き上げたり、守っているものを
力ずくで取り上げたりしなかったでしょうか。
どの犬も、いきなり噛むように
なったわけではありません。
最初は唸ったり、歯を見せたりして
意思表示しているはずです。
犬の気持ちを無視し続けた結果、
噛むという手段を
取らざるを得なかったのかもしれませんね。
②トラウマが癒えていない
噛む理由の大きなものに、トラウマがあります。
体罰はもちろん、
飼い主は気にしていないようなことでも、
犬にとっては心の傷になっていることが。
叩かれたことがトラウマなら
“ハンドシャイ”という、人の手を過剰に
怖がる状態になっても不思議ではありません。
このようなトラウマを直すのは根気が必要。
少しずつ、人の手から食べ物をもらうことに
慣れさせることから始めなければなりません。
③悪いパターンが固定化している
リードを付ける時、ブラッシング、
足を拭く時など、生活の決まった場面で
毎回噛む犬がいます。
飼い主が何かしようとすると犬は
噛んで拒否し、
飼い主がそれに対して
好ましくない反応をする…という
パターンが固定化していると、
それを崩すのは大変になります。
毎日繰り返し噛まれることが
習慣化してしまうのは、
何としても避けなければなりません。
そうは言っても、
自分自身ではどこに問題があるのか
客観的に見れないのも当然。
気づけずに、悪いパターンを
繰り返している可能性があります。
噛む犬をしつけ直すためのヒント
①突破口を探す
いつも同じ人が世話をしている場合、
犬と飼い主の関係が固定化し、
感情的にも方法的にも
煮詰まってしまうことがあります。
何事も時には風通しが大切ですよね。
流血するほどの噛み癖でなくても、
プロのドッグトレーナーに
相談してみるのもおすすめです。
飼い主ひとりでは気づけない、
プロならではの見立てがあるはず。
凝り固まった見方がほぐれ、
違う視点でしつけを考えられるように
なるかもしれません。
②思い込みを一旦リセットする
「うちの犬には何を言っても分からない」
「犬に嫌われているからもうダメだ」
こういった思い込みは
一旦リセットするに限ります。
飼い主は無意識のうちに、
「自分の犬のことは、
自分が一番よくわっかっている」
というような思い込みに陥ってしまうものです。
それでうまく行っているなら問題ありませんが、
噛み癖に困っている現状があることを
思い出しましょう。
犬に対するネガティブな潜在意識が、
しつけの邪魔になることがあるので
気を付けたいものです。
③家族を巻き込む
噛む犬に困っている飼い主には、
まじめで責任感の強い人がたくさんいます。
何とかしようと、ひとりで悪戦苦闘していると、
視野が狭くなってしまいがち。
子育てにも言えるのですが、
母親が一人で抱え込みすぎると
いいことはありません。
子育ても犬のしつけも、
家族みんなの協力が必要なんです。
また、特定の家族だけが抜きん出た権力を
持っている場合、犬がそれ以外の家族を
目下に見てしまうことがあるのでよくありません。
(うちのほたるがまさにこれでした)
どの家族に対しても噛まなくなるような、
パワーバランスの調整が必要です。
いかがでしたか?
▶噛む犬が直らないのは、
そもそも飼い主とのコミュニケーションに
課題がある可能性がある
▶しつけ直すヒントは、
固定化したパターンや思い込みを一旦リセットし、
いい意味で周囲に委ねること
これらのポイントを踏まえ、
根気のいることですが頑張りましょう。
今のままでは何も変わりません。
まずは飼い主が行動することが、
あらゆる可能性につながりますから。
小手先の方法に頼らず、
飼い主としての在り方を見直してみる
いい機会かもしれませんね。
言葉が通じない相手とは、
感受性をフル活用して
コミュニケーションをとってみてください。
※
12才まであと2ヶ月という時
旅立ってしまったうちのほたるは、
夫から受けた一度だけの体罰がトラウマになり、
夫以外の家族を目下に見て噛むように。
でも私たち飼い主は、
いろいろと言い訳を並べ、
噛む犬に変貌したほたるを直そうとしなかったのです。
根気よくしつけ直したなら、
もしかして直ったかもしれないのに…。
それでも元気なうちはまだ何とかなったのですが、
老犬になったほたるは、
ある日突然歩けなくなり
寝たきりになってしまったのです。
それからが大変でした。
(噛むので)介護が思うようにできず、
そのことで寿命を縮めたのかもしれません。
亡くなった後、
私は悔やんでも悔やみきれず
重度のペットロス症候群に。
ほたるはうちに来て良かったのか、
もっとあの時こうしていればよかったなど…
涙がとめどなく流れるのです。
もしあなたの愛犬が噛む犬になっていたら、
今からでもあきらめずに直してあげてください。
私たちのような飼い主にならないよう願っています。