私も身をもって経験済みですが、
噛む犬の飼い主は何かと悩みが
つきません。
中でも動物病院を受診する場合は
なおさらですね。
でも、犬の命にかかわることなので
後回しにはできないし、人任せにする
こともできません。
かといって、無理に連れて行っても、
医師やスタッフにケガをさせたり
待合室でトラブルを起こす可能性も…。
さらには、
「受診する前に断られたらどうしよう」
など、心配は尽きませんね。
さて、‘噛む犬は動物病院で診て
もらえるのか?’ですが、
結論から言えば、ほとんどの場合
診てもらえます。
その理由ですが、なんと飼い犬の
約4割が動物病院を嫌いという
事実があって、
普段は噛まなくても受診の時だけ
大暴れしてしまう犬ってけっこう
いるんです。
中には獣医師やスタッフに噛みつく犬も。
だからと言って、
義務付けられている毎年の予防接種などを
受けなくていいことにはなりませんよね。
ですから、ほとんどの動物病院では
対策はちゃんととっているので、
よほどのことがない限り噛む犬でも
受診を断られることはありません。
‘噛む犬と動物病院’のカテゴリーでは、
あなたの
「噛む犬は動物病院で診てもらえるの?」
という心配を解消するために、
噛む犬を動物病院へ連れていく時の
さまざまな対策や
受診させるべき病気・症状についても
お伝えしていきます。
例えば、
動物病院では基本的には
噛む犬でも受け入れてもらえますが、
獣医師やスタッフは少なからず
危険にさらされることになります。
そこで、
動物病院それぞれに
噛む犬への対策を講じています。
どんな対策かというと
①保定
動物病院では、噛む犬でも安全に
治療ができるように、
力任せで抑えるのではなく
できるだけ犬の体に負担をかけずに
固定する‘保定’が行われています。
受診の時に見たことがある人も
いると思いますが、
スタッフなどが抱きかかえるように
犬を押さえて、治療しやすいように
サポートしていますよね。
自然にやっているように見えますが、
犬の関節を上手に固定し暴れにくい
体制をとらせているんです。
押さえながらも指先で犬の顔を撫でたり、
やさしく声をかけたりと
上手に対応してくれますよ。
②鎮痛剤を注射して落ち着かせる
あまりに犬の興奮が強く犬にとって
負担が大きい場合、
鎮静剤を注射することも。
ただし、心臓や腎臓の機能が下がって
いないかなど、あらかじめ検査を
要しますが。
③飼い主だけが受診する
まずは電話して症状や噛む犬であることを
相談してみましょう。
「とりあえず、オシッコや症状の
動画などを持って飼い主さんだけ
来てみてください」
と言ってくれる動物病院は
けっこう多いものです。
④往診
この方法は、病院へ行くストレスが
ないので、犬も少し落ち着いて
いることができますね。
ここ10年くらいで、往診メインの
動物病院は約2.6倍に増えているとか。
入院や手術の必要がある場合は、
設備のある病院へ紹介してくれるので
安心ですね。
また、当カテゴリーでは、
噛む犬への飼い主ができる対策も
お伝えします。
噛む犬になった原因は、
ほとんどの場合飼い主にあるわけで、
そういう意味でも飼い主側でできる
ことはやっておきたいものです。
どういうことができるかというと、
①口輪をして受診させる
動物病院でも、犬の口を包帯で
ぐるぐる巻きにして診察することも
あります。
ですが、飼い主があらかじめ口輪を
用意して診察直前につけられれば
ベストです。
直前につけるのに自信がない時は
家を出る時からつけておきましょう。
(この方法は家族の中に着けられる人が
いる場合に限りますが)
②クレートに慣れさせる
まずは、病院に連れていくことから
始めなければならないことも
あるでしょう。
普段クレートを使わないのに
受診時だけ使っていると、
犬はクレートを見ただけで動物病院を
連想してしまいます。
警戒心なく連れていくためには、
普段からクレートに慣れさせておく
必要が。
はじめは、クレートの中で
ごはんを食べさせたりするのも
いいでしょう。
③保定の練習をする
受診の時だけ保定されると、
‘保定=怖くて痛いこと’
となってしまいかねません。
そこで、自宅でも元気なうちから
保定を練習して、大人しくできたら
ほめておやつを与えるということを
しておきたいですね。
④反応しすぎない
犬が吠えたり、噛みつこうとしたり
するのを止めようと、
「よしよし…」や「いけない!」など
たくさん言葉をかける人がいます。
飼い主として妥当な対応に見えますが、
実は不適切なので控えましょう。
必死になだめる、危険行動を制しようと
大きな声で叱るというような
飼い主が反応しすぎている状態は、
犬の不安をあおってしまうので、
必要以上に構いすぎないように
しましょう。
⑤普段から動物病院に慣らす
動物病院の周りを散歩して慣らすのも
一つの方法です。
または医師やスタッフから
おやつをもらう機会を定期的に作り、
いいイメージを持たせておくことも
病院に慣らす一つの方法ですね。
⑥犬に合う病院を見つける
犬のしつけや問題行動に対して、
知識と理解がある動物病院を
探しましょう。
特に、動物行動学に精通している
‘獣医行動診療科認定医’ がいる
動物病院は、
噛む犬に対して経験豊富で正しい対応を
してくれるのでおすすめです。
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噛む犬に対して、柔軟な対応をしている
動物病院を選ぶことは十分可能ですし、
飼い主さんの方の工夫次第でも
動物病院を受診することができるんです。
噛む犬の飼い主さんは、
受診に伴うストレスがかなりかかるため、
初動が遅れる傾向があります。
ですが、ケガや病気は待って
くれませんので、
動物病院のお世話になるしかありません。
愛犬の命に関わる問題なので、
難しい状況に直面した時に困らないよう、
しつけ直しと並行しながらでも、
元気なうちから考えておきたいですね。
愛犬を噛む犬にしてしまったけれど、
いざケガや病気で
受診しなければならなくなったら…と
気を病んでいる人は、
ぜひ参考になさって
少しでも不安を取り除いてくださいね!