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「愛犬の噛む癖が治らない…」
とお手上げ状態の飼い主さん、今一度どのようなしつけをしてきたのか振り返ってみましょう。
まず、‘犬は噛む習性のある生き物’ だということを理解することから始めましょう。
噛むことは犬にとって自然な行動なんです。
犬が飼い主さんを噛むのには次のような原因があります。
①人に対する恐怖や不安
②主従関係の逆転
③本能から噛む
④興奮して噛む
⑤ストレスから
⑥歯がむず痒い(子犬のみ)
⑦病気や怪我で身体のどこかが痛い
ここからは、どうして愛犬の噛み癖が治らないのかとお悩みの飼い主さんに向けて犬が噛む原因を明らかにして、
その原因ごとにどのようにしつけたらいいのかを、しつけでのNG行為と併せて詳しく解説していきます。
犬が飼い主などを噛む原因を理解してから治す
まず、噛む原因を理解することから始めましょう。
そしてその原因ごとにしつけ治していくと噛み癖が改善されやすいです。
①人に対する恐怖や不安で噛む
犬が恐怖や不安を感じるのは主に人を怖がっているときで、
本能的に自分を守ろうとして噛み付いてきます。
▶根深いトラウマはプロに依頼
考えられる原因は、飼い主が大声で怒鳴ったり、いけない事をしたときに叩いたりすることです。
そんなことをされると、人そのものや人の手は自分にとっては怖いもの、害があるものと認識してしまうんですね。
このケースでのしつけ方法としては、かなり根気がいりますが、毎日優しく名前を呼んで声をかけてあげてください。
この時撫でたりするのは逆効果です。
また、絶対に怒鳴ったり叩いたりしてはいけません。
そして、ご飯を食べたとかでもいいので、小さい事1つ1つをとにかくほめること。
オーバーなくらいの明るい声、笑顔でちょうどいいですよ。
ただ、人の手に対する恐怖は、深いトラウマになってしまうと対処するのは一筋縄ではいかないもの。
専門の訓練士などに依頼した方が良いケースも少なくありません。
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▶無理に人に会わせない
例えば、知らない人が家に来ると噛む、などです。
このようなケースでは、社会化不足が原因と考えられます。
この場合、来客と無理に会わせる必要はありません。
来客時にはできれば犬を別室に移動させましょう。
基本的に犬は知らない人に会うのが不安なんです。
ただ、どうしても治したい場合は、専門の訓練士やトレーナーなどの元での訓練が必要になります。
②主従関係が逆転したため噛む
▶甘やかさない
犬が、自分は飼い主より立場が上だと思っている場合も、飼い主を噛む原因になります。
例えばこんなことありませんか?
・よく吠えられる
・呼んでも応じない
・犬の側に行くとどこかに行ってしまう
かわいいからと甘やかしてきませんでしたか?
あるいは、指示を聞かないのに
「まあいいや」と、そのままにしていませんか?
このケースの改善方法は、飼い主と犬の主従関係をはっきりさせることです。
心を鬼にして根気よく
‘飼い主の指示に従わせる’
‘要求を受け入れない’
を徹底して、飼い主の方が上の立場だということを理解させます。
具体的には、次のようなことです。
1)いきなり触らない
いきなり触らず、犬が何かに夢中になっているときなどがチャンス!
触られることに意識がいっていないのでどさくさに紛れて触ってみましょう。
2)好きなおやつを手からあげながら触る
犬の好きなおやつを手から食べさせながら背中を静かに撫でてみましょう。
最初は背中、そして徐々に触る場所を変えていって、犬の表情を観察しながら嫌がらない場所を探します。
3)おやつはなしで嫌がらない場所を触る
触っても嫌がらない場所をおやつなしで触ってみましょう。
そして、触る時間を少しずつ長くしていきます。
あまり長いとまた噛んでくる恐れがあるので注意しましょう。
おやつをうまく使うのがポイント!
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③本能から噛む
例えば、
▶食事中触ろうとすると噛みつく
食事中やおやつを食べている時触ろうとすると噛みつくという場合、犬には「大切なものが奪われてしまう」
という防衛本能が働き、唸る噛むという行動が起きてしまいます。
次のような対策を取ってみましょう。
1)食事の部屋を別にする
例え飼い主であっても食事中に触ったり食事の邪魔をすることはNG。
対策として、愛犬が落ち着いて食事ができるように部屋を別にしましょう。
2)直接手から与えてみる
試しに食事中、飼い主さんが近づいてみましょう。
唸らないなら食器を手に持ったり直接手から与えてみます。
この方法は、
「噛まれるかも…」
という飼い主さんの緊張が犬に伝わりやすいので極力緊張をほぐしながらやってみましょう。
(一度嚙まれている飼い主さんの場合、とても精神に負担が掛かるので無理はしないようにしてください)
この食べさせ方は、本来わんちゃんの好きな食べ方の一つなんです。
続けていれば飼い主との心の距離が縮まることも夢ではありません。
3)わんこそば風に与えてみる
わんこそば風に与えることでプラスイメージを持たせる方法も。
「わんこそば風とはどういうこと?」と不思議に思いますよね。
実はそのままのイメージです。
普段ごはんを食べている器に、わんこそばのように次々とごはんを少しずつ入れていく方法。
この方法も最初飼い主さんは緊張しますが、このようなおかわり形式で入れていくことによって、
次第に手が近くに来ても気にしなくなってきます。
かなり単純ですが、それだけ犬も単純だと言えますね!
これらの方法で、もし唸るようなら噛まれる可能性があるのですぐにストップしましょう。
▶無防備な状態のときは触らない
寝ている時そっと後ろから、なんて無防備な状態のとき急に触るのもやめましょう。
犬は自分を守るために本能で反射的に噛んでしまいます。
このような場面を作らないことが一番の対処法です。
また、このような本能からくる噛み癖は治らないことも多いので、その場合は訓練士や獣医師などに相談することになるかもしれません。
④興奮して噛む
手そのものをおもちゃだと思い、じゃれているうちに興奮して噛んでしまうなど。
子犬時代や家に来て間もない頃、飼い主さんの手で遊んでいたので人の手を噛んでもいいものと勘違いしてしまっているのかもしれませんね。
このケースでのしつけは次のようにしてみましょう。
▶「オスワリ」や「マテ」の指示
犬が興奮していると感じたら、一度「オスワリ」や「マテ」と意識的に命令するようにしましょう。
このように人が指示をすることで頭の中がクールダウンし、犬は頭を使って理性的に考えるようになります。
▶その場から離れる
手を噛んできたら手を抜いてスッとどこかへ行ってしまい知らないフリをしましょう。
人が反応すると、遊んでくれていると感じたりその反応がおもしろいと思い、楽しんでしまう可能性があるからです。
「手を噛んでも何も楽しいことがない」ということを態度で表しましょう。
⑤ストレスから噛む
▶運動などで発散させる
犬のストレスは、犬にとって不快な環境や構ってもらえない、留守番からの寂しさ、散歩や遊びが足りない、などにより蓄積していきます。
そのストレスを飼い主にぶつける行為が噛むということなんです。
このケースでのしつけ方法としては、ストレスを発散してあげることがポイントになります。
噛んでも壊れにくいおもちゃを与えたり、運動不足にならないようにお散歩をまめにさせることや
体を動かして飼い主さんと遊べる時間をできるだけたくさん作る、などしてあげてくださいね。
▶周囲を清潔に保つ
あとは、トイレなど愛犬の身の回りを掃除して清潔に保ちましょう。
犬も人間と同じで、汚い所で住み続けるとストレスが溜まりますから。
⑥歯がむず痒い(子犬のみ)
歯の生え変わり期の子犬は、何かを噛んでそのむず痒さを解消しようとします。
問題なのは、噛む対象が人の手や家具などに向けられること。
次のような対策をしてみましょう。
▶噛み防止スプレーを使う
噛んでほしくないものには‘噛み防止スプレー’を使います。
▶おもちゃや犬用のガムを与える
噛む欲求を満たすようなおもちゃや犬用ガムを与えましょう。
中でも私が一番におすすめしたいのが、飼い主と引っ張り合いっこをすることでストレス解消にも有効なロープ型のおもちゃ。
これは、よく噛むことで唾液が分泌され、口内環境を整える効果も期待できるので一石二鳥ですよ。
愛犬の健康のためにも、ぜひおもちゃの購入を検討してみてくださいね。
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⑦病気やけがのため身体のどこかが痛い
身体のどこかが痛いと、触られた場合噛むことがあります。
特に抱っこした時わかることが多いです。
犬にとって、抱っこは不安定になるため緊張したり怖いと思ってしまうので本来は好きなことではないのですが、
抱き方が上手になると逆に安心して抱っこ好きになることも。
ただ、抱こうとして犬の身体を触ったとき「キャン」と鳴く場合などは、触られると身体のどこかが痛いことが考えられます。
よく観察して、辛そうだったりよくわからない場合は動物病院での受診をおすすめします。
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噛む犬のしつけでNGなこと
①怒鳴る、体罰を与える
いずれにしても、犬の噛み癖を治そうとしつけをするときに、絶対してはいけないことがあります。
それは、怒鳴る・叩く・マズルを強くつかむなどの暴力や体罰です。
こういうことをすると、恐怖心が強くなるだけでなく敵とみなし興奮してよけい酷い状況になることは目に見えています。
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②厳しすぎる天罰方式
犬の身体に痛みや恐怖を与えるような厳しすぎる天罰は逆効果。
恐怖心から、飼い主さんが犬の近くで手を動かしただけで噛むようになります。
「これぐらいなら大丈夫だろう」と思っても、気の弱い怖がりな犬には逆効果なので注意しましょう。
③甘やかす
例えば愛犬がおもちゃで遊んでいるとき、「離せ!」と指示をしたのに言うことを聞かない。
けれど、しょうがないからとそのままにしていた、などです。
この場合、犬は「おもちゃを噛むと楽しいから離さなくていいんだ」と勘違いし、無理に取ろうとすると噛んできます。
このようなケースでは、「離せ」と何度でも言い聞かせ、おもちゃを離したら大げさなくらいほめちぎります。
すると犬は今度は「おもちゃを離すといいことがある」と学習し噛むことが徐々になくなっていきます。
④噛まれたのにゆるい態度で済ませる
犬に噛まれた場合、それがいけないことだと認識させることが重要になります。
子犬の頃に、甘噛みで人や物を噛んでいた場合、犬にとっては単純に楽しいスキンシップであって、悪いことだとはみじんも思っていないんです。
そこで、いけないことだと教えるために、まずは噛まれたタイミングで「痛い!!」と叫ぶようにしてください。
叫ぶ言葉は「痛い」以外でも構いません。
大切なのは、「短く」そして「大きな声」で伝えること。
そうすることで、犬は何か自分がいけないことをしたのだと自覚します。
時には、驚いた犬が噛みついてきたりすることがありますが、同様の方法をとるようにしてください。
噛まれる前の ‘歯が当たったタイミング’ でこれを行うとより効果的です。
このとき、怖がらずに堂々と振る舞うことが大切。
人間が怖がっているとその緊張感が犬に伝染し、よけいに噛みに来るようになるんです。
(といっても、流血するほど手を噛まれジンジンと熱を持って腫らした私のような人間に、緊張するなというのも無理な話ですが…)
子犬の時の甘噛みを可愛いから、痛くないからと放っておくと成犬になってから飼い主さんは泣きを見ることも珍しいことではありません。
ですが、成犬になったからもう噛む癖は治らない、なんていうことはありません。
噛み癖が治らないのは必ず理由があり、何もないのに噛むことはないからです。
今の愛犬が置かれている状況から気持ちを汲み取り、それに沿った対策をしてあげることからまず始めてみませんか?
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あとがき
わが家にも以前、ほたるという♀のmix犬(雑種)がいたので、特に子犬の頃の可愛さは物凄くわかります。
でも、私たち飼い主の至らなさで、見事に主従関係が崩れてしまい、夫以外の私や息子、娘を噛む犬になってしまいました。
私などは、手を噛まれ流血して腫れるということが2度ほど。
結果触ることができたのは、ほたるが旅立った後という本当に情けない後悔しきれない過去があります。
愛犬と幸せに暮らすためには、‘噛む犬にしない’ ということが絶対条件!
もし、してしまったら、根気のいることですが、できるだけ早く治してあげるための行動に移してください。
わが家のような失敗をしないことを願っています!