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子犬の甘噛みはいつまで続くのか、と
困っている飼い主さんは多いです。
子犬は手放しで可愛いものですが
意外と乳歯が鋭く、痛いもの。
段々噛む力が強くなり
「このまま噛む犬になって
しまうのでは…」
「他人やよその犬に大ケガをさせたら
どうしよう…」
と不安になることはありませんか?
あるいは、子犬のすることと
見逃してきたけれど、
家の物をめちゃくちゃに壊されて、
我慢の限界がきているかもしれません。
甘噛みの理由は次のように分けられます。
[様子を見ていい場合]
①歯が痒い
②噛むことが楽しい
③動くものへの狩猟本能
[すぐに直した方がいい場合]
①手をおもちゃと思っている
②飼い主が喜んでいると思っている
③ストレス
④要求を通そうとしている
問題なのは、後者の方。
愛犬の甘噛みにお困りの飼い主さんに
向けて、子犬の噛みたい欲求を
満たしつつきちんとしつける方法を
習得しましょう。
ここから解説していきます。
子犬の甘噛みはいつまで続くのか
犬の甘噛みは、生後3~4か月頃に始まり、
長いと1~2年も続くことも。
甘噛み自体は健全な発達に欠かせない
ものですが、
人や家具を噛むことが問題なんですよね。
中には早急に対応しなければならない
ケースもあります。
甘噛みをする理由を見極め
噛んでいいものを与える、
必要以上に本能を掻きたてないなど
工夫をしながら子犬の甘噛みと
つき合っていきましょう。
■子犬の甘噛みは自然に直るか?
ところで甘噛みは放っておいても
自然に直るのでしょうか?
例えば甘噛みする理由が健全な
発達過程によるものだからといって、
様子を見ているだけでいいの?という
ことなんですね。
結論からいいますと、
子犬の甘噛みは自然には直りません。
成長したら直ったように見えるのは、
だいたいの場合飼い主さんが子犬のうちに
ちゃんとしつけたからなんです。
子犬はあっという間に体が大きくなり
噛む力が強くなるので、子犬のうちに
噛んでもいいものダメなものを
理解させることが、甘噛みを直すための
基本のしつけです。
噛むオモチャなどをうまく使って
しつけていきましょう。
【関連記事】
>>犬に噛んではいけないものと良いものを教える時期と方法は?
甘噛みの中でも様子見でokの場合とその対処法
甘噛みをする理由の中で、様子を
見ていてもいいのは次のようなものです。
ですが、ただ様子を見ていればいいと
いうことではなく、人の手や噛んでは
いけないものを噛む場合は、代わりに
オモチャなどを与えて対処しましょう。
①歯が痒い
生後4~5か月目以降は
歯の生え変わりの時期なので痒がる
ことがあります。
口の中がムズムズし気になりますが、
子犬は自分の歯を手で触ることが
できないので、噛む刺激で不快を
紛らわせようとします。
全て生え変わるのは、生後7か月~1年
くらい。
それまでには痒みもおさまってくるので
焦らなくても大丈夫です。
歯がためのおもちゃを用意して、
思い切り噛ませてあげましょう。
②噛むことが楽しい
子犬の頃は、噛むことに犬としての
喜びを感じる時期。
子犬は好奇心の塊で目新しいものを
噛んで確かめたい気持ちでいっぱいです。
硬さや感触、味やにおいに触れ、
好きか嫌いか、安全か危険かなどの
情報を集めるのを楽しんでいます。
手が使えないので噛んで確かめようと
するのは当たり前のこと。
健全に成長している証拠でもありますね。
何かグッズを探して与えるとか、
壊されても仕方ないと割り切って
どうしても噛まれたくないものは
片づけてしまいましょう。
③動くものへの狩猟本能
犬の狩猟本能として、目の前を素早く
動くものやおもしろい動きをする物を
捕まえたい衝動にかられます。
犬種によっては、昔狩りや狩猟で
活躍した名残で人のかかとに
噛みつきやすいこともあるでしょう。
習性を全くなくすることは不可能。
かといって、このケースは放っておくと
強化してしまうことが少なくないのです。
なので、子犬のうちに、
噛まれたら「ノー」や「イケナイ」など
はっきりと意思表示をすることも
大切なしつけです。
飼い主側としても、
動作をゆっくりするよう心掛けるなど
対策するのもいいでしょう。
早急に直した方が良い甘噛みとその対処法
子犬に何か勘違いさせてしまったことや
本当に欲しいものの代償行為が、
甘噛みの理由になっていることも。
これは子犬が悪いわけではなく、
飼い主に問題があることがほとんどです。
いずれも、すぐに直した方がいいのは
飼い主の行動です。
①手をおもちゃと思っている
子犬が甘噛みする姿は、
超かわいらしくて、つい飼い主の手に
じゃれつかせて遊ばせたくなりますよね。
でも、これはよくありません。
子犬の頃から人の手で遊んでいると、
噛んでもいいおもちゃだと認識されて
しまうから。
・飼い主の方から遊びに誘う
子犬の方から噛んで遊びに誘うなら、
その前に飼い主から遊びに誘うのも
一つの方法ですよ。
犬の祖先と言われるオオカミの群れは、
遊びはリーダーから誘うという
ルールがあるんです。
子犬の要求に応えてではなく、
飼い主のタイミングで遊ぶことで
自然と主従関係が身についてきます。
どんなにかわいくても、
じゃれつく時は人の手ではなく
専用のおもちゃを使わせましょう。
・手でご飯をあげる
手でごはんやおやつをあげることで、
「人の手は遊ぶものではなく
美味しいものをくれるもの」と
認識させることが狙いです。
②飼い主が喜んでいると思っている
子犬と楽しく遊んでいると、
せっかくの雰囲気を壊したくないからと
多少噛まれても遊びをやめるのは
もったいないような気持ちに
なることもあるでしょう。
子犬の愛情表現ゆえの行動とも
とれますし。
でも、興奮するあまり飼い主さんを
うっかり噛んでしまうことがあります。
このようなとき(例え歯が当たっただけ
だとしても)は、中途半端に反応したり
騒いだりしてそのまま遊びを続けるのは
よくありません。
子犬は、飼い主も喜んでいると
勘違いしてしまうんです。
心を鬼にして表情をガラリと変え
「イケナイ」と叱りましょう。
飼い主がやめてほしいと思っていることを
しっかり伝えなければなりません。
③ストレス
留守番が多いなど、飼い主に構って
もらえないことで子犬にストレスが
溜まっていることがあります。
行き場のないストレスを噛むことで
発散している場合、噛み方が強くなったり
執拗に噛んだりするので、
噛み方にも注意してみましょう。
ストレスが甘噛みの理由と思われるなら、
やはり運動や遊びの時間を増やす必要が
あります。
犬種によって、散歩の必要量は
まちまちですが、
散歩が終わると疲れて寝てしまう
くらいの時間をかけてあげるのが
理想です。
体を動かすことが大好きな子犬と、
遊ぶことを楽しめる飼い主で
ありたいものですよね。
④要求を通そうとしている
飼い主の気を惹きたい時やおやつが
ほしいなどの要求がある時、噛んで
それを叶えようとすることがあります。
この場合の対策は、無視を徹底すること。
かん高い声で騒いだり目を見て叱ると、
「かまってもらえた!」
と受け取られることがあります。
【参考サイト(東京都江戸川区ホームページ)】
>>子犬のあま噛み
甘噛みのしつけで気をつけること
子犬の甘噛みは、ひどくなりすぎない
ように、飼い主がしつけなければ
いけません。
その際、犬のしつけ全体に言えますが、
次のようなことに注意しましょう。
①痛みや恐怖を与えるしつけはNG!
声を大にして言いたいのですが、
・叩く、殴る、蹴る
・マズルを強く掴んで叱る
(適切なマズルコントロールは必要)
・くわえた手を口の奥まで突っ込む
・口周りなどの毛をキャンと鳴くほど
強く引っ張る
など、
痛みや恐怖を与えるようなしつけは
絶対にやめましょう。
子犬に精神的なショックを与え、
トラウマという深刻な副作用を
引き起こすだけですから。
トラウマはしつけ全般に悪影響ですし、
飼い主との信頼関係にヒビが
入りかねません。
わが家が大失敗したケースはあとがきを
ご覧ください!
動物病院を受診することも本当に
大変でした。(自業自得ですが)
【関連記事】
>>動物病院で噛む犬を受診させる方法。わが家のケースは?
飼い主によって身勝手なしつけを
された上に、さじを投げられた噛む犬が
毎年たくさん捨てられているんです。
②便利グッズは対象年齢や素材を確認する
人だけではなく、スリッパや家具など
物への甘噛みにも何かグッズを
与えてみましょう。
ネットや店頭でさまざま売られています。
噛みたい欲求を満たしてあげるためにも、
対象年齢や素材を確かめて、
子犬に合ったものを選びましょう。
例えば、
木製の家具を噛んで壊してしまうなら、
木のおもちゃを与えてみましょう。
ストレス発散や遊びたい気持ちを
満たすのが目的なら、中におやつが
入るタイプで集中して遊べるものや
ロープ型のおもちゃで引っ張り合いっこ
してあげるのがおすすめ。
思い切り噛んで遊ぶことで、
ほどよく体力を使いエネルギーを
持て余さずに済みます。
同時に飼い主とのコミュニケーションの
時間にもなるので、かまってほしい
気持ちも満たすことができますよ。
いくつか試してみて、
どれが気に入るか見てみましょう。
③おやつで気をそらさない
噛んでいるものから気を逸らそうと、
おやつで興味を引くのはタブー。
甘噛みをするとおやつがもらえる、と
間違った解釈をされてしまうからです。
④しつけ方法は家族全員統一する
1)「ノー」と伝える
遊んでいる時に噛んできたら、
家族全員が統一した言葉で
「ノー」や「イケナイ」
と言います。
低い声で、はっきり言うのがポイント。
2)タイムアウト
次に、速やかに遊びをやめ、
その場を立ち去りましょう。
この行動も家族全員統一します。
子犬は、
「噛んだら楽しい遊びが終わってしまう」
とか
「噛んだらみんなどこかへ行ってしまう」
と学びます。
3)遊びの再開
数分後、遊びを再開し噛まなくなったら
たくさんほめましょう。
再び噛んできたら遊びを中止します。
このように家族がしつけ方法を統一
することで、人の手は噛んでは
いけないということをとことん教えます。
【関連記事】
>>犬の育て方が夫婦で違う。いっそ自分ひとりで育てたら楽?
⑤留守中は部屋で自由に過ごさせない
部屋で自由にさせると、
子犬はかえって落ち着かず情緒不安定に
なることがあるんです。
子犬は不安な気持ちを落ち着かせようと
いろいろなものを噛んでしまうことに。
何にでも言えますが、度が過ぎるのは
よくありません。
本能や健全な成長ゆえの甘噛みですが、
いつまで続くのかという不安は、
甘噛みする理由を見極め、適切に対処
していくことで解消されるでしょう。
あとがき
わが家でも以前、ほたるというワンコを
飼っていました。
ほたる1才頃、じゃれつきが
エスカレートして夫が手を噛まれ流血
↓
ほたる、昔のしつけ方しか知らない夫の
スパルタ式しつけ(要は体罰)を受ける
(この時が最初で最後でしたが)
↓
夫以外の家族を本気で噛む犬に変貌。
という最悪のシナリオをたどることに…
「このまま噛む犬になって
しまうのでは…」
という不安が現実になった出来事でした。
夫にはリーダーと認めたのか怖いからか、
相変わらず従順でとても懐いていました。
確かに、ほたるは活発で、じゃれ方も
半端なかったです。
だからといって
「あんなスパルタをしなくたって」
という、夫に対しての腹立たしさと、
噛む犬の兆候が表れた時、早い時点で
真剣に直す対策を取らなかった自分への
腹立たしさは、今も消えることは
ありません。
犬のしつけで、たとえ理由が何であれ
痛みや恐怖を与えるようなやり方は、
絶対にしてはいけません。
愛嬌があり可愛かったほたるの心に、
どれだけの傷を残し、
トラウマにさせてしまったか…。
それ以来、夫以外の私たちは、ほたるが
旅立ってからしか撫でてあげられない、
という苦難のペット生活を送ることに
なるのです。